昨日(2月24日)、辺野古新基地建設の是非を問う県民投票が実施されました。

結果は、「反対」が43万4273票で投票総数の72.15%という圧倒的多数となりました。また、県民投票条例では、「投票資格者の4分の1(つまり25%)を超えた答については、県知事は尊重しなければならないし、その結果を日米両政府に通知する」旨定めていますが、今回の反対票は投票資格者の37.65%と、25%を大きく上回りました。なお、投票率は52.48%でした。

これまで辺野古新基地建設反対を公約として県知事に当選した翁長前知事の得票は36万0820票、辺野古新基地建設の是非が最大の争点と言われた昨年の県知事選挙で玉城デニー知事の得票は39万6632票(これは県知事選挙最高の得票数です)であり、今回の反対票はいずれもこれを上回っています。これは、先の知事選挙において、日本政府と与党が全面的に支持した候補者に投票した人の中からも、辺野古新基地建設ということについては反対の意思を表明したということです。

これまで沖縄では、3度の知事選挙、4度の国政選挙で、いずれも辺野古新基地建設反対の民意が示されましたが、政府も、裁判所までもが、「選挙は他の争点もあるから、必ずしも辺野古新基地建設反対が民意とは言えない」などと言って、沖縄県民の願いを無視してきました。しかし、今回は辺野古新基地建設という明確な1点での賛否を問うたものであり、もはやこのような言い逃れはできません。

今回の結果に対し、辺野古を抱える名護市の渡具知市長は、取材に対し、「有権者の約半数が投票しなかった。それは反対だけが民意ではないということだ。」というようなコメントをしています。おそらく、今後日本政府や与党からも同じようなコメントが出るでしょう。なお、渡具知市長は、安倍政権と自民党が全面的に支援して当選した市長であり、市長選挙の際には(さらに言えば現時点でも)辺野古新基地建設の是非については一切態度を表明しない人です(辺野古新基地建設に態度を表明しないながら、基地再編交付金は受け取るといった、事実上は新基地建設を容認しているという、「卑怯」な態度と言っていいでしょう。)。 この言い方は、あたかも「100%の投票率でなければ民意とは言えない」と言っているようなものです。 果たしてそうでしょうか。

渡具知市長が当選した名護市長選挙の投票率は76%強であり、100%ではありません。つまり、渡具知市長の言い方を借りれば、投票しなかった約24%の名護市民は渡具知市長を支持しなかったということです。また、渡具知市長の得票率は54.6%です。これまたつまり、渡具知市長の言い方を借りれば、投票しなかった人や対立候補であった稲嶺前市長に投票した人を含めると名護市民の約56%は渡具知市長を支持しなかったということです。 また、現在「安倍1強」と言われています。しかし、自民党の国会での衆議院の占有率は75.4%ですが、得票率は48.2%に過ぎません。県民投票での反対票の72.15%には遠く及びません。また、2017年の衆議院選挙の投票率は53.68%です。2016年の参議院選挙の投票率は54.70%で、自民党の得票率は39.94%です。安倍首相は、このような投票率や自民党の得票率の結果でも、「国民は安倍政権を支持した」などと言いました。

だとすれば、投票率では遜色のない今回の県民投票で7割以上の反対の意思が表明された結果は、渡具知市長も安倍首相も、「投票しなかった人がいるから他にも民意がある」などとは言えないはずです。それは、県民投票に積極的に参加した県民の民意を蔑ろにするだけです。決して許されることではありません。

なお、名護市での反対票は18,077票で、賛成の4,455票や「どちらでもない」の2,216票を大きく上回っています。渡具知市長はこの結果を大きく受け止める責任があります。

また、普天間基地を抱える宜野湾市の松川市長は、県民投票の選択肢には「普天間基地の危険性除去のため」ということが入っていないので普天間問題が置き去りにされているなどと言っています。なお、松川市長も、安倍政権と自民党が全面的に支援して当選した市長であり、今回の県民投票に対しては当初は「実施しない」として有権者の基本的人権を侵そうとしていた方です。 しかし、今回の県民投票は、普天間基地の代替施設としての辺野古新基地の建設の是非を問うており、普天間基地の閉鎖・撤去が前提とされています。すなわち、普天間基地の閉鎖・撤去のために辺野古の新基地が必要なのか、ひいては普天間基地の閉鎖・撤去のために沖縄が新たな基地を提供すべきなのかどうかが問われたのです。

松川市長のコメントは、あたかも「反対に票を投じた人は、普天間基地が固定化されても構わないと考えている」と言うものですが、それは明確に間違っており、県民を愚弄するものです。

宜野湾市では、反対票が26,439票で、やはり、賛成の9,643票、「どちらでもない」の3,500票を大きく上回りました。日々普天間基地からの被害に晒されている宜野湾市民も、沖縄県内での「基地のたらい回し」に異議を唱えたのです。松川市長はこの結果を重く受け止めるべきです。

当初、県内で一番最初に県民投票を実施しないとした首長である中山市長(やはり安倍政権と与党が全力で支持し当選した人です)は、マスコミからコメントを求められ、玉城知事は代わりの案を示すべきだなどと答えています。菅官房長官も、県民投票の結果を受けて「玉城知事から他の案が示されていないのが残念だ」などとコメントしました。

しかし、普天間基地は、沖縄戦の最中に、住民を収容所に押し込めて隔離した中で、当時普天間にあった市街地や街道などを勝手に潰し、約8,800人の住民を犠牲にして作られた基地です。アメリカも参加しているハーグ陸戦条約では、占領軍は民間地を接収してはならないと定めています。つまり、普天間基地は、もともと違法に作られた基地なのです。戦後、アメリカは、その違法状態を回避するため、地主に土地代を支払うとし、沖縄の本土復帰後は日本政府が代わって地主の地代を支払っています。しかし、それは、合法化の後付けにほかなりません。

違法に土地を基地にされた沖縄が、なぜ、それを返してもらうために別の土地を提供する必要があるのでしょうか。そんな義務はないはずです。

国土面積の0.6%しかない沖縄には、現在でも米軍専用施設の70%が集中しています。そもそも終戦直後の沖縄の米軍基地の集中率は、日本全国の約1割程度に過ぎませんでした。しかし、日本本土での反基地闘争の高揚で、沖縄に基地が移転されたのです。そのために、日本の「主権回復」後も、沖縄では「銃剣とブルドーザー」という県民の土地を強奪して米軍基地が作られていき、今のように「基地の中に沖縄がある」という状況にされたのです。 沖縄にはこれ以上の基地は要りませんし、基本的には戦争につながる基地は全てなくなるべきです。そして、もともと違法に作られた普天間基地は、何の前提条件もなく直ちに閉鎖し撤去されるべきです。沖縄が代替地を提供する義務もないし、代案を提示する義務もありません。

政府は最近、辺野古には「マヨネーズと同じ」と言われる超軟弱地盤が存在していることを認めました。それを隠して基地建設の承認を得ると言う姑息な手段を用いていました。

政府はその軟弱地盤の改良を計画していますが、それは世界中でいまだかつてやられたことのない工事であり、本当に実施できるのか不明です。さらに、仮に実施できるとしてもどれくらい長期間になるのか、予想が付きません。そして、2兆円以上の税金が投入されます。完成するかどうか不明なことに莫大な税金が投入されるのです。

こんなことが許されていいのでしょうか。

軍事的にも、辺野古に新たな基地を造る必然性はありません。

また、辺野古新基地の滑走路は短いため、もともと海兵隊としては最善の基地ではありませんでした。那覇空港の滑走路を米軍が使用することが確保されない限り、辺野古新基地ができても普天間基地は返還されないことは、すでに明らかになっています。

日本政府・安倍首相も、アメリカ政府も、今回明確に示された県民の民意を尊重し、直ちに普天間基地の閉鎖・撤去をすべきです。

日本もアメリカも「民主主義国家」を名乗るのであれば、そうするしかないはずです。

(2019年2月25日)