2019年年頭のご挨拶

翁長前知事は公約どおり辺野古新基地建設承認処分を撤回しました。それはまさに「命を削って」実行したものでした。そして、翁長前知事死去に伴い前倒しで実施された県知事選挙では、辺野古新基地建設の是非が最大の争点となり、その反対を唱えた玉城デニーさんが、安倍政権が全力で後押しした候補を破り、過去最高の得票を獲得して当選しました。「辺野古に新基地はいらない」という圧倒的民意が示されたのです。

他方、安倍政権は、口では「沖縄に寄り添う」と言いながら、その民意も無視し、辺野古の海への土砂投入を強行しました。「沖縄県民がどんなに反対しても、政府の施策は続ける」という態度を見せ、既成事実を積み重ねて、県民を諦めさせようとしています。それは沖縄だけに過重な基地負担を押し付け続けるという沖縄への構造的差別であるだけでなく、日本の民主主義をも蔑ろにする行為です。なぜならば、「民意がどうであれ政府の思った通りにする」ということなのですから。これをこのまま許せば、同じようなことは日本全国のどこでも当たり前に起こってしまうことになります。

しかし、沖縄県民は諦めていません。そもそも、現在強行されている土砂投入も、当初の計画とは順序が違います。当初計画で最初に土砂を投入しようとした箇所は、軟弱地盤の存在が明らかとなり、地盤改良をしなければ護岸も造れず、到底土砂投入はできないことが明らかになっています。そして、地盤改良をするには、計画変更をしなければならず、それには県知事の承認が必要ですが、県民が選んだ玉城デニー知事が承認しないことは明らかです。安倍政権が既成事実を積み上げようとしても、それさえもこのまま継続していくこと見通しは立っていないのです。

政権は、「選挙は多くの争点があるから、玉城知事の当選だけでは辺野古新基地建設反対が民意だとは言えない」と言います。したがって、2月24日に実施される県民投票は非常に大切です。「辺野古新基地建設に賛成か反対か」という一つの論点だけで行われる県民投票で反対の投票が圧倒的多数となれば、もはや政府も裁判所も、「他にも民意はある」とは言えなくなります。

私も加入している自由法曹団沖縄支部は、県民投票で辺野古新基地建設反対の圧倒的な民意を示そうと決議し、その運動をしていくことにしています。私も1団員として頑張っていこうと思います。

ところで、「県民投票では普天間基地の危険性除去についての選択肢がないから普天間基地が固定化されかねない」として、県民投票に反対し、いくつかの市町村それを実施しないという動きがあります。しかしそれは、辺野古新基地建設を推進する政権による後押しがある動きだと言って過言でないでしょう。

そもそも普天間基地は、沖縄戦の最中に、住民を排除して、街を潰し、米軍が勝手に基地に変えてしまったものです。第2次世界大戦前にアメリカも加盟しているハーグ陸戦条約では、占領軍は「私有財産は没収できない」と規定しています。普天間基地はもちろん、沖縄にある米軍基地の殆どはその規定に違反して造られたものであり、国際法上違法なものなのです。したがって、そもそもアメリカは、何の条件も無しに普天間基地を撤去する義務があります。それなのに、「沖縄県内移設ができない限り普天間基地の閉鎖・撤去はできない」と言う。そんなおかしなことはありません。

また、仲井真元知事が辺野古新基地建設を承認した際、安倍政権は「普天間基地の5年以内の運用停止」を実施すると約束しました。もともと辺野古新基地は、順調にいっても5年で完成するようなものではありません。したがって、辺野古新基地の建設承認と普天間基地の閉鎖とは、もともと関連付けられるものではないのです。ところが安倍政権は「普天間基地の危険性除去は辺野古新基地建設が唯一の解決策だ」と言い、普天間基地が閉鎖されない責任を沖縄県民や知事に押し付けています。完全に間違いです。そして、県民投票は、辺野古基地の閉鎖・返還を当然に前提として行われるものです。普天間基地の閉鎖に触れないから県民投票は実施しないというのは、論理のすりかえです。

また、県民投票を行う権利は、県民一人一人の参政権の行使であり、憲法で保障された基本的権利です。それを、議員や首長が奪うことは違憲であり、違法です。決して許されることではありません。

県民投票が全ての県民に保障され、かつ、建設反対が圧倒的な得票となるよう、頑張っていきたいと思います。

「働き方改革法」が、多くの国民世論が反対しているのに、またもや強行採決で成立しました。

労働者の健康と生活を守る最低限の保障である労働時間の延長が、過労死基準にまで許されることになりました。しかも、医師など多くの労働者への適用は先送りされています。同時に、「高度プロフェッショナル制度」が導入されました。まさに「過労死推進法」というべきものです。 しかし、残業時間を延ばすためには、いわゆる36協定の締結が必要です。高度プロフェッショナル制度も、協定が必要です。つまり、「働き方改革法」の下でも、労働組合や労働者の「長時間労働を許す協定には賛同しない」という運動で、それを防ぐことは可能です。加えて、高度プロフェッショナル制度は、対象となる労働者個人が拒否すれば実施できません。

労働者・労働組合の取組がますます重要になってきました。私も弁護士として、その権利擁護のためにできる限りの共同をしていきたいと思っています。

昨年、私も引き続き弁護団員として関わってきたNTT西日本の子会社・NTTマーケティングアクト事件が、労働者勝利の内容で和解終結しました。

NTTマーケティングアクトは、フレッツ光の営業に従事していた有期雇用の非正規従業員を、フレッツ光を他社とコラボレーションするために業務がなくなるという理由で、一律解雇(雇止め)することにしました。しかし、有期雇用の非正規労働者は、長年にわたって契約更新を繰り返し、過去には雇止めの例もなく、しかも従事していた業務は基幹的業務であったため、労働契約法19条により不合理な雇止めはできない状態でした。そのため、NTTは、非正規労働者に対し、次の就労先の斡旋を受けるためには雇止めにより契約更新がないことを確認させるという方策に出たのです。つまり、労働契約法19条の適用を逃れるための方策です。

裁判所は、それが違法で無効であること、そして、有期雇用の非正規労働者の大量雇止めに対しても整理解雇の法理が適用(準用)されることを明示しました。こうして、名古屋高裁で最終的に労働者の勝利和解となったのです。

現在、雇用情勢が好転し人手不足が深刻になっていると言われています。しかし、労働者の多くが有期雇用の非正規労働者です。特に沖縄では、その傾向が強い。したがって、有期雇用の非正規労働者の権利確立は急務の課題となっています。NTTマーケティングアクトの事件は、こうした意味で非常に意義のある事例を提供することができました。

引き続き有期雇用などの非正規労働者の権利擁護の活動に携わっていきます。

昨年も、職場におけるパワハラ・セクハラの相談を多く受けました。パワハラ・セクハラは、労働者個々人の人権を侵害するとともに、職場環境を悪化させ、ひいては企業活動にも支障をきたします。そのため、パワハラ・セクハラの禁止を法律で明確にする必要がありますが、使用者側はそれに抵抗しています。

労働弁護士として、個々の事案の解決に尽力するとともに、その積み重ねが法的規制につながっていくことを願っています。

もうすぐ3歳になる孫は、しゃべれる言葉も飛躍的に増えました。この春には幼稚園に入園します。お友だちとの触れ合いは、さらに彼を成長させるでしょう。1歳半の孫も、言葉はまだまだですが、明確な意思表示をするようになりました。この子たちが大人になるころは、どんな世の中になっているのか。最近は、自国中心主義の風潮が世界各国で強まり、戦前と似た状況になっているとも言われています。この孫たちに、そんな悲しい時代に生きてほしくはありません。孫たちに癒されながらも、じいちゃんは頑張っていきたいと思っています。

今年もよろしくお願いします。